倶楽部高遊旅行記目次>2006鹿児島01

旅の記録B

突然日帰り鹿児島

公私共にストレスのたまる日々。
耐えかねて、現実逃避の旅に出ることにした。

日帰り旅行の行き先は、新幹線の開業で手軽にいけるようになった「鹿児島」。
かねてからお願いしていたものの受け取り等もあり、2日前に突然決めた。

9時21分熊本発のリレーつばめ。朝からゆっくりしすぎた私が切符を買って
ホームに降りたらすぐに入線してきた。ぎりぎりだ。
熊本駅は新幹線工事で切り刻まれ、悲惨な状況だ。
今回使用する切符は「つばめおれんじぐるりんきっぷ」というもの。
私はこれで3度目の利用だ。
この切符には3種類、熊本版・鹿児島版・ワイドとある。
今回も鹿児島市内まで行くので「ワイド」。
行きおれんじ鉄道経由を選択。
これで7千円なのだからお得な切符だ。
しかも今日は日曜日なので、おれんじ鉄道区間には便利な観光快速が運転される。

右窓から新幹線高架が近づき、在来線から取り付け線に入れば、「新八代」。
この「リレーつばめ」の乗客のほとんどは、
向かいホームに待機中の新幹線「つばめ」に乗り換える。
私はその乗客を横目に階段をくだり改札を通り隣の駅舎、在来線乗り場へ。
ちょうど今から乗る観光快速「うみかぜ」が入ってきた。
肥薩おれんじ鉄道自慢のイベント兼用車両「おれんじちゃん」だ。
ワンマン単行快速列車jは、まだ新しいホームの真ん中に、ぽつんと停まっている。


観光快速・うみかぜ・新八代にて

9時58分、ディーゼルの割りに静かに動き出した。
毎度のことだが、最近のディーゼルカーの静音化には驚く。
暫くJRの線路を走って「八代」。
ここで座席が埋まるほどの乗客が乗車。なかなか頼もしい。
八代を出ると、次の停車は「日奈久温泉」。温泉とちくわの町。2組ほど下車。

上田浦で上り列車と行き違い。
元鹿児島本線の長大なホームの隅っこに、単行のディーゼルカーがちょこんといるのが、わびしい。
このあたりの右窓はすぐ海。今日は快晴なので海の色がすばらしい。
いい日に来たものだ。
次の停車は「田浦御立岬公園」公園のためにできた新駅だが、駅からはわりと遠い。


田浦付近の海。こんなにすぐそばを通る。

海との間を山に阻まれて進む。この辺りは柑橘類の生産が盛んだ。
日本一の生産量を誇る「甘夏」や大玉の「晩白柚」、もちろんミカンも。
この「肥薩おれんじ鉄道」の名もそれにちなんでのものだ。
観光快速列車なので、車内では案内テープが観光案内をしている。
音量が微妙で、イマイチ聴き取れないのだが、ふと見ると、運賃表示器の次駅表示部分にも
同じ内容の文字が流れている。
聴こえない場合は目で見ろ、って事か。気が利いている。

さっきからトンネルが多い。
この辺りの鉄道の建設も、大変な苦労だったろうと思う。
先人たちが築いてきたこの大切な交通手段を、国やJRはいとも簡単に切り捨ててきた。
経済効率のみがすべてではないだろうに。
せめて今残っている線路ぐらいは守りたいと思うが、私には乗る事ぐらいしかできない。
列車は佐敷に停車。

快速列車は土日祝日の観光用にしか走っていない。
今まではおれんじ鉄道を平日にしか利用したことがなかったので各停ばかりだったが、
初めて乗るこの快速列車はかなり快適だ。元幹線だけあって線路状態もよく、あまり揺れない。
天気もよいし、気分は上々だ。

列車は、たまに訪れる複線区間を走っている。
鹿児島本線の八代以南、つまりこの肥薩おれんじ鉄道区間も、であるが、
ほとんどの区間が「単線」だ。
複線化された区間もあるが、ほんのちょっとだけ、だ。
そのせいで、新幹線開業前は行き違いや特急列車の追い抜き等で普通列車は
かなりの長時間停車を強いられ、膨大な所要時間がかかっていた。
今となっては、この線路を走る特急列車もなくなり、列車全体の本数も激減したため、
各駅停車もスムーズに走れるようになった。まあ、行き違い待ちはたまにあるが。

右窓から白い高架の壁が現れ、新水俣。一組下車。
高架の下で鉄橋を渡ると左から旧国鉄「山野線」跡の「日本一長い運動場」が寄り添う。
線路は左カーブを曲がり、水俣着。
広い構内には使われなくなったらしい赤錆びた線路がいくつか。


こんなに必要なくなってしまった広い構内・水俣駅

八代で乗車して来て私の後ろに座り、地元の方らしい老女と楽しそうに話していた
関西訛りのある若い女性は、老女が降りたあと眠ってしまったらしい。
車内はすでに数えるほどの乗客もいない。
寂しくなってきた。そろそろ鹿児島県に入る。


海岸線も複雑で美しい

海は青く美しい。並行する国道3号の舗装が真新しく、海の青さと映える。
米ノ津で上り列車と行き違い。
今度は左窓から新幹線高架が現れ、やがて出水。
武家屋敷と鶴の町、との案内。
水俣と出水は意外と近いのだが、そのどちらも新幹線駅がある。
九州新幹線は駅が多い。確かにかつての特急停車駅よりは少ないのだが。
出水で乗務員が交代。

高尾野で上り列車と行き違い。
駅の周りには菜の花が満開だ。

しかしさすがに快速は早い。
かつては特急が停車したが、新幹線には見捨てられてしまったまち「阿久根」。
熊本を出てここまでたった2時間。あと1時間で鹿児島中央に着くとは恐れ入る。
おれんじ区間が各駅停車だと、あと1時間以上は余計にかかる。観光列車様々、だ。
ここで「ひでわん」氏と合流。本日の目的の取引は無事完了。
ここから、今日はわざわざ付き合ってくださる。

薩摩大川で上り列車と行き違い。

ひでわん氏と話すうちに川内。”快速”だ。
ここで新幹線に乗り換える。
しかし、いつ来てもこの駅の改札は怪しい。
出改札兼掌には無理があるのではないか?。
12時16分発。
相変わらずの高速地下鉄道っぷりであっという間に鹿児島中央に着く。
行き当たりばったり旅行なので、ここからの予定がない。
とりあえず、もう一人お会いする予定の方とメールで合流方法の打ち合わせ。

駅前バスセンターから、宮之城行きのジェイアール九州バスに乗る。
途中の「薩摩郡山」で合流することに。
中型バスは2000年式のまあまあ新車だが、座席モケットはまさに国鉄バスそのものの青シート。
なんか良いなあ・・・。
ひでわん氏と雑談をしているうちに斜面を登り始め、高校生らしい学生達やそのほか数名の
乗降があり、郡山着。
バスを降りると「しゅう」氏が待っていてくれた。
霧島方面まで出かけておられたのに、この為に戻ってきてくださった。
ここからは氏の自家用車で移動することに。
全員空腹とのことでまずは腹ごしらえ。
このメンバーなら当然「ラーメン」。
しゅう氏なじみの店に行く。ここは一度連れてきていただいたことがある。
大盛りを頼んだのだが、すごい量。ご飯まで頼まなければよかった・・・。


あっさりスープ・細麺の大盛りラーメンには、これまたたっぷりの野菜と焼豚。海軍屋

一息ついて、ジェイアール九州バス鹿児島支店に向かう。
支店では車両係の方にいろいろと案内していただく。
その親切な対応には恐縮した。
暫く歓談したあとお礼を言って退散。次回は何か差し入れます。
ありがとうございました。


ジェイアール九州バス鹿児島支店

少し早めに帰宅されるひでわん氏を鹿児島中央駅まで送り、しゅう氏と二人で
何をしようか、と考える。
川内にJRバス好きの方がいらっしゃるという事で、会いに行くことに。

川内駅付近のファミリーレストランを出たのは、帰りの新幹線の発車10分前。
駅について改札をt通り、送っていただいたしゅう氏にお別れをしホームに下りると
ちょうど白い車体が入ってくるところだった。
バス三昧の一日?、でもないが、楽しく実りのあり日だった。
今回は発案が直前だったせいで関係された方々にはばたばたと
ずいぶんご迷惑をおかけしてしまった。
今後はもう少しじっくり考えてから行動したいと思う。

新幹線は相変わらずトンネルばかり。
外はもう真っ暗だからあまり変わらない、か。
明日からまた、いろいろ大変ないつもの日々か。
長い、苦しい2月になるだろう。
しかし、今日1日でだいぶ落ち着けたと思う。
明日は明日の風が吹く、ともいう。
頑張ろう。


急な申し出にもかかわらず付き合っていただいた諸氏、
いろいろお世話になった鹿児島支店車両係氏、
初対面なのに楽しくお話できました川内の方、
皆様ありがとうございました。


2006年2月6日脱稿


旅行記目次へ