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思い立ったが吉日・・・篠栗線電化試乗日帰りミニトリップ・・・


起きたら昼前。
いつものようにパチンコでも行こうか、ん・・いや、たまにはどっか行くか!。
と、突然思い立った。

豊肥本線竜田口駅で、今月(2001年10月)発売されたばかりの新生2枚切符
「熊本市内〜福岡市内」を購入し、熊本行きの普通列車に乗り込む。
99年に電化し、ここも立派な新型電車が走るようになった。
この車両には、たまに通勤のため鹿児島本線でお世話になるのだが、
どうも今日は乗り心地が悪い。
最近の新車は、貫通部の扉が無く、その騒音がそのまま車内に響き渡る。
ロングレールの区間が多くなった鹿児島線ではあまり気にならなかったが、
豊肥線はさすがにうるさい。車内放送があまり聞き取れないほどだ。
土曜日なので帰宅する高校生の姿が多い。
毎日利用する彼らに車内放送はあまり関係ないかな。

熊本発14時ちょうど、博多行き特急「つばめ」12号に乗る。
意外だった、と言うとJRに失礼か、なかなかの乗車率。
やっと通路側だが空席を見つけ、座る。
相席なので車窓を見るわけにもいかず、持ってきた本を読む。

博多で改札を出て、220円の切符を買う。これで「香椎」まで行く。
今まで使ってきた「2枚切符」は福岡市内なら有効なので、
勿論そのまま香椎まで乗れるのだが、この先のルートがそれを許さない。
今買った切符で改札を再び通ると、今来た鹿児島線を引き返す「下り快速」に乗る。
詳しい方はもうお分かりだろう。
「運賃計算の特例・大都市近郊区間の乗車券」(*1参照)を利用するのだ。

久しぶりの鉄道を使ったお出かけで、すっかり浦島太郎な私は、
この快速の車両にははじめて乗った。
懐古主義の私にはいささか面白くない新型車輌なのだが、
クロスシートと言うのは嬉しい。
原田で下車。


原田で。

0番ホームに行くと、目的の列車が止まっている。
筑豊本線、桂川行きの普通列車だ。
「筑豊本線」というと、いかにも列車本数の多い幹線のように感じてしまうが、
ここから桂川までの区間は一日数本しか列車の走らないローカル線だ。
しかし・・、う・・・、酒臭い・・。
単行ディーゼルの運転席の横に陣取っているオヤジの手に、発泡酒が握られている。
グビ、グビ、グビ。飲み干して、ぱしゅっ。グビ、グビ、グビ。
たまらない。

定刻15:52、酒臭い黄色いディーゼルは原田を出発。
すぐに鹿児島本線の逞しい線路とわかれ、右に大きく曲がる。
運転手の頭越し、遠慮がちに前方を見ると、見える線路はなんとも心細い。
西鉄の複線の上をまたぎ、暫らく築堤を行くと、やがて筑前山家につく。
ここには、北九州の筑豊電鉄で走っていたという路面電車が保存されている。
どこにあるのかと目を凝らすと、駅前にブルーシートに包まれた大きな物体が見える。
残念だが公開日ではないので仕方ない。
筑前山家をでると、車窓は一気に山間部へと変る。
ディーゼルは数本の短いトンネルを抜け、分水嶺の冷水(ひやみず)トンネルに入る。

左から真新しい架線柱の群れが近寄り、終点、桂川に到着。
黄色いディーゼルは折り返して原田行きに変る。


桂川に進入する折尾行き電車。

篠栗線博多行きの電車に乗り込む。10月6日の電化開業に合わせて新造された電車だ。
時間帯のせいか、なかなかの混雑だ。座席は埋まって立ち客も結構いる。
座れないから仕方ない、といったそぶりで、何気なく運転席横にかぶりつく。特等席だ。
桂川を出た電車は、先ほど私が通ってきた非電化の「本線」から右に分かれる。
ぐんぐんと速度を上げる。快速なので篠栗まで停まらない。
かさ上げされたホームのアスファルトが黒光りする駅をいくつか通過し、篠栗トンネルに進入。

篠栗出発、門松を通過して、長者原に停車。ここで下車する。
ここまで篠栗線に乗ってきて思ったのは、
「豊肥線電化のときよりはるかに金を使ってる」
と言う事。詳しい事はよくわからないが、見た目でそう思う。
ここ長者原など、まるで建て替えたかのようだ(建て替えたのかな?)。
長者原の開業はそんなに古くない。確か1987年ごろだったろうか。
この立派な構内を見ていると、10数年前までただの立体交差だったとはとても思えない。
跨線橋の階段を上ると、そこに片面1線の香椎線ホームがある。丁度宇美行きのディーゼルが停まっているが、
私が乗るのは逆方向だ。見送ってしばらく待つと、17:02発西戸崎行きがやってきた。

「ここも変ったなあ」。しみじみと思う。
私がはじめて香椎線に乗ったのは中学生の頃だが、その時の香椎線はただのローカル線で、
列車本数も今とは比べものにならないほど少なかった。
そこを、タラコ色のキハ30だとかいう古い変ったディーゼルが走ってた。
それが今や、JR九州の誇る高性能気動車200系が、20分間隔で運行されている。
すっかり福岡都市圏の足となっているようだ。

十数分で、香椎に到着。
ここでやっと改札を出る。
帰りの特急は有明41号、博多発18:45なので、しばらく時間がある。
とりあえず指定を取ろうかと空席状況を聞く。通路が側が一つだけ空いてるとのこと。
自由席に賭けて見ようか。
切符は買わずに香椎駅前の娯楽の殿堂に入る。
20分ほどでやめ、駅の窓口で「グリーン券」を買う。
九州内のグリーン券は200キロまでが安くて使いやすい。財布も重くなったし少し贅沢をしてみる。
2枚切符の残りで改札を通り、丁度来た快速に乗り、博多へ。



ホームでうどんを食べる。
旅行に出たら腹が減ってなくても必ず食べる。
儀式のようなものだ。
量と質の割には高いが、この雰囲気の中だと安く感じる。
かき揚げが乗った「海老天うどん」に卵を落としてすすりこむ。

自由席車に並ぶ人々を横目に、1号車に悠々と乗り込む。
ここに座ったまま豊肥線の下車駅、武蔵塚まで乗り換えなしとは、いい時代になった。
眠いが、寝るわけにはいかない。
私は寝起きが悪い。終点まで乗り過ごしてしまいそうだ。
サービスのホットコーヒーをちびちびと、本を読む。
いつのまにか寝てしまった・・。


*1:特定区間内であれば、同じ駅を2度通ったり路線が重複しない限り、目的駅までの最短区間を乗った場合の運賃を支払えばよい、とする制度。
解説

平成13年10月26日、脱稿。


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