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旅の記録A

台風前夜・・・第二回ビール列車オフ顛末記・・・

去年は楽しかった。
記録には残してないが、八月の最後の土曜日、くまがわ鉄道のビール列車でオフ会をした。
あの楽しさが忘れられない。
しかも隣にいたおば様軍団に「来年もまたこの週で会おう」と約束させられてしまった。
で、今年もやることにした。

高遊のオフにしては早い2ヶ月前から告知し、昨年よりも多い参加者を獲得、7月末に予約。
気合入ってるぞ、なんとしても楽しいオフとして成功させよう、晴れてくれよ!。

8月26日。仕事中に給油のおじさんが言う。
「今週末は台風が直撃しそうだね」。
・・・うそん・・・。
週間天気などを見る。確かにまずそう。おいおい。
前日まで気をもみながら参加される方々と連絡を取り合う。
どうやらいけそうだ。


2004年8月28日土曜日。天候・曇り。

北熊本8時2分発の熊本電鉄にかろうじて間に合う。
最近、旅行の度にこの駅を使うが、いつもぎりぎりに滑り込む。
おかげで汗だく。なのに上熊本行きには冷房がない。
車輌が古いから仕方ない。しかも私的にこの車輌は好きだから我慢する。
上熊本に着くが接続がいまいち。25分ほど待って熊本まで普通列車。
この列車内で今日の熊本県唯一の参加者、若鳩氏と合流。

熊本8時56分発の「リレーつばめ35号」は、定時に新八代に着いた。
途中、宇土付近はすっかり新幹線高架が立ち並んでいた。時代は着実に変わっている。
新八代では3分の乗り換え。
私は九州新幹線初体験のため、先頭車の写真を撮ったりする。



九州新幹線800系 新八代で


「つばめ35号」はするすると動き出す。
おお、新幹線だよ。・・・八代だよ?、なのに新幹線だ。
いや〜、感慨深い。
・・・と、浸ってみたのもつかの間、・・・景色が見えね〜!。
なんだこりゃ、高速地下鉄じゃないか。
こんなものは乗ってしまえば面白くないな、などとワカハト氏に迷惑なクダをまいていると、
あ、っという間に鹿児島中央につく。・・・さすが、早い。

西鹿児島改め鹿児島中央駅の横には、来月オープン予定の「アミュプラザ鹿児島」やらが建っている。
でかい。それになんだ、訳わからん観覧車までついている。大丈夫か?、JR九州。
駅前のバスセンターを、あてもなくうろついていると、なんともモエるものが入ってきた。
ジェイアール九州バス、国鉄色、通称「青バス」だ。
鹿児島駅まで移動しようと思っていたのでちょうどいい。これに乗っていこう。
社員証を用意し(笑)、しばらく乗り場に佇むと、待機場から駅前をぐるっと一周してバスが来た。
市電に乗りたそうなワカハト氏を無理やり引き連れて乗り込む。
JRバス基準で言う「5型」、つまり大型長尺路線バスだ。年式は推定1988年。
一番後ろに座って若鳩氏にくどくどと説明する。さぞ迷惑だっただろう。
10分くらいで鹿児島駅前に着く。財布から社員証を抜いて前に行くと、・・・運転士は同期だった。
いやいや、私は決してマニアではないですよ。偶然来たバスにたまたま乗っただけですよ。
・・・・信じてね・・・・Mさん。



国鉄色ジェイアール九州バス 鹿児島中央駅前にて若鳩氏撮影


若鳩氏の提案で交通局1日乗車券を買い、市電に乗り込む。
鹿児島駅前〜谷山〜郡元〜鹿児島駅前と乗り鹿児島市電を完乗。また市電で中央駅へ。
そういえば昼飯がまだだ。
これから乗るのはこの春デビューの観光特急「はやとの風4号」。
吉松まで1時間34分。何も食べないじゃあきついなあ。
しかしもう発車まで5分もない。お茶だけ買って乗り込む。
・・・、と、車内販売がいるじゃないか。
まさか2両編成の田舎特急に車販が乗っているとは思わなんだ。
しかも、食べたいと思っていた「嘉例川」の限定駅弁があったため購入。
若鳩氏と並んで舌鼓を打つ。うまかった。



はやとの風 鹿児島中央駅にて



嘉例川の「駅弁」 右(中身)は若鳩氏撮影 はやとの風車内にて


あいにくの曇り空で櫻島は頂上が隠れている。
この山の全容をきれいに見たことがあまりない。
鹿児島の山々とはあまり相性が良くないらしく、開聞岳もいつも雲をかぶっている。
隼人から肥薩線に入り、列車は速度を落とす。
特急とはいえ観光列車のため、印象的な田舎の駅に次々停車する。
車輌は内装が原形をとどめないほど改造され、なかなか気持ちよい。
乗車率もなかなか。さすが夏休み最後の土曜日といったところか。



しんぺい(左)とはやとの風 吉松にて若鳩氏撮影


吉松で40分ほど待ち、今度は観光普通列車「しんぺい」、に乗る。
これまた今春に専用車に置き換わった。
キハ40型とかいう近郊型気動車の改造で、内装は「はやとの風」にも劣らぬ立派なものだ。
この車輌になる前は、いわゆる「キハ31型」という近代的な近郊車が運用されていたため、
観光客には受けが悪かったようだ。
この改造車なら納得できるだろう。



真幸駅にて、「幸せの鐘」をつく筆者 若鳩氏撮影


「しんぺい」は各駅にじっくり停まりながら人吉を目指す。
まずはスイッチバックの駅、「真幸」。
ここには「幸せの鐘」なるものがある。
要は発車合図などに使っていたものだろうが、とりあえず突いてみた。
国鉄時代のこの駅は、とにかく美しいことで有名だった。
駅係員によって毎日きれいに清掃され、ホームの玉砂利は端正な模様が描かれていた。
しかし現在は、かさ上げされたホームのコンクリートと、
残された砂利に無造作に生える雑草が、もの哀しさをかもし出す駅となっている。
次は、難工事の末開通したとされる「矢岳第一トンネル」を抜け、
熊本県に入って最初の駅「矢岳」。
ここの駅のすぐ横には「SL館」があり、貨物蒸機「D51」、通称「デゴイチ」が展示されている。
かつては「8620型」「58654」という大正生まれのSLも展示されていたが、
こちらは現在「SLあそBoy」として復活、主に豊肥本線で活躍している。
矢岳を出ると、全国でここだけの特徴を持つ駅「大畑」。
一般的に鉄道には、峠越えの標高差を稼ぐため「ループ線」と「スイッチバック」という2つの技術がある。
この駅は、全国で唯一、その二つを併せ持っている。。
・・・実際には、ループ線の途中にスイッチバックの駅がある、と表現すべきか。
駅舎内には多数の名刺などがはってある。
昨年私が貼ったものを探すが見当たらない。仕方がないのでまた貼る(笑)。

ゆっくりと峠を越えた「しんぺい」は定時に人吉に着いた。
本題の「ビール列車」の発車まではまだ2時間以上ある。
とりあえずチェックインのため宿に行くことにする。
と、宿のフロントで今回のもう一組の参加者である「しゅう」さんご一家と遭遇。
この場はご挨拶だけにして各部屋に入る。
真新しいホテルの4階で、見晴らしはなかなか。
とりあえず部屋風呂で汗を流し、若鳩氏と二人でラーメンを食べに行く。
・・・多い。安いが量の多いラーメン。これが失敗・・・。
私は何とか完食するが、細い若鳩氏はきつそうに残した。
本番まであと1.5時間・・・。

なんだか人吉で有名な店の「餃子」を手に入れ、人吉駅へ。
ビール列車の受付はもう始まっていた。
到着した定期列車の先頭に、我々が乗るイベント車輌が連結される。
いよいよだ。



ビール列車に乗り込む 人吉にて若鳩氏撮影


全員が乗り込むと、発車もしないうちに乾杯。宴会が勃発。
肝心な、昨年お会いした奥様方は・・・いるかどうかもわからない・・・。
先ほどのラーメンでお腹がいっぱいだが、のどは乾いているいのでビールがうまい。
どんどん呑む。どんどんどんどん飲む。
ロングシート車の通路に長テーブルを置いた格好の車内では、隣近所で
持ち込んだおつまみ類、惣菜類などの交換が行われている。
我々も餃子を提供し、いろいろなものをいただく。
そうそう、この、なんというかざっくばらんな感じが良いんだよね。
ビールがすすむ。
列車は行き違い駅「免田」に到着。
気がつくと、中央付近の酔客が、対向列車の高校生に、食べ物のいっぱい乗った皿を
渡している。恐縮しながら受け取る高校生。車内は大爆笑。田舎ならではか?。
折り返しの終着駅、湯前につく頃には、車内はカラオケ大会に突入していた。



泥酔状態?でなんだか良く解らないことをしている筆者
後ろはしゅうさん  若鳩氏撮影



帰りの便が人吉につく頃には、なかなか具合のいい酔っ払いが大量に出来上がっていた。
くまがわ鉄道担当者のOさんと、来年の再会を約束し列車を降りる。
この後2次会に行くかどうかを決めたいところだが、とりあえず宿に戻る。
温泉につかり部屋でくつろいでいると眠くなってくる。
部屋の違うしゅうさんと連絡が取れない。
とりあえず若鳩氏と二人、夜の人吉市街を徘徊してみる事とした。


8月29日日曜日。 天候 雨。

朝から起きると雨。風はまだないらしい。
部屋のテレビで気象情報を確認、大丈夫そうだ。
朝風呂に入ってうっすら残った酔いを醒まし、軽い朝食を済ましてしばしくつろぎ、しゅうさんと連絡を取る。
一階ロビーで本日の参加者「ひでわん」さんと合流。
台風が来ているというのにはるばる鹿児島県から自家用車参加された。
残念ながらしゅうさんとはこのあと別行動。
ご家族連れなのでこの日の私達の行程は無理でしょうね。お疲れ様でした。



雨の中のいさぶろう 大畑にて若鳩氏撮影


人吉駅からは「いさぶろう」で吉松へ。
昨日の「しんぺい」の下り列車はこの名称。
同じく各駅にゆっくり停まりながら走る。
吉松からは普通列車に乗り換え「嘉例川」下車。
昨年開業100周年を迎え、すっかり有名なってしまった駅だ。
ここには、先ほどお別れしたばかりの「しゅう」さんが管理する「たびの〜と」がある。
もちろん、の〜とは有名になるずっと前からおいてあるらしい。
有名になってこざっぱりした観光地風になってしまい、複雑な心境とお察しする。
しかしまあ、1時間いても誰も来ない駅ではあった。次の列車で今度は北上。
「大隅横川」下車。
ここも特に何もない駅だ。
2年前に来たときには、ホームの隅にひっそりと朽ちかけていた「タブレットキャッチャー」が
これも100周年効果かきれいに化粧直しされて移植、展示されていた。
・・・なんでこんなつまらないことをするんだろう・・・。



はやとの風 車内 若鳩氏撮影


ここから先は昨日と同じく、はやとの風4号〜しんぺいで人吉に戻る。
吉松駅ではしゅうさんと再会。「汽笛饅頭」を頂き、日数本のレア路線バスを撮影(笑)。
駅前でしゅうさんを見送り、雨の吉松を去った。



今では珍しい駅弁の立ち売り 人吉にて若鳩氏撮影


人吉駅ではいまどき珍しくなった駅弁の「立ち売り」が見られる。
若鳩氏がつられて「栗めし」を買う。私も買いたくなったが、お腹がいまいちなので我慢する。
お二人は弁当屋氏を盛んに撮影。



九州横断特急 人吉にて若鳩氏撮影


九州横断特急8号、は2両編成。
JR四国から購入してずいぶんになるボロ気動車を今春リニューアルしたものだ。
といっても内装は全く変わらない。
車で帰るひでわんさんに見送られ、列車はゆっくりとホームを離れる。
隣の栗めしのいいにおいをかぎながら、疲れがどっと押し寄せる。
台風は明日にも九州上陸らしい。
最後の列車は発車した。もう、運転中止になっても家には帰れる。
安心から眠くなる。
若鳩氏はうまそうに食事中だ。
お互い、この旅行中では食べてばかりだったような・・・・。



平成16年8月31日、脱稿。

追記
翌8月30日は、九州内で一般路線バスまで運休するほどの
大型で強い台風が直撃した。
人吉や湯前では瞬間最大風速が30mを超え
吉松では避難勧告も出された。
本当に台風直前のぎりぎりオフであった。
こんな中参加された皆様に心より感謝を申し上げます。
ありがとうございました。
・・・是非、来年もよろしくお願いいたします。


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